光の話 Lighttale for Art and Culture

ジェームズ・タレル

(James Turrell, 1943-)

照明や自然光、プロジェクターなどによる光を用いて規模の大きいインスタレーション作品を制作する。展示空間に色を満たす幻想的でカラフルな作品もあれば、暗闇の中に鑑賞者を拘束し、最大限に暗順応した状態でわずかに知覚できるような、非常にミニマルな光の作品もある。作品を通して共通しているのは、人間の知覚や「夢の中の光」などの精神的な光への関心であり、それを実物の光を用いて再現し、体験させようとしている。タレルの作品はとにかく「光」というものの存在を認識させられる。私たちの生活において光は背景であり、それによってかたどられた物体は見ても、光そのものを見ることはない。光は常に意識下で私たちに作用するものだが、タレルはその光を前景化する。まるで空気か、手を伸ばせば触れられる物体のように現れる光だが、しかし見れば見るほどそこには何もない。

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