光の話 Lighttale for Art and Culture

ミシェル・ヴェルジュ

(Michel Verjux, 1956-)

大型のスポットライトによる円形の光を壁面や窓、建物の外壁に投影する。作品を突き詰めた結果「照明することが、すでに展示すること」であり、芸術作品は「絵画でも彫刻ではなく、照明なの」だという結論に至った。この考え方は人が特に視覚に依存している関係上、芸術以外の普遍的な領域にも言えることであるが、ヴェルジュの作品はやはり芸術らしく、日常的の照明とは異なり強い存在感がある。まるで芸術のアウラだけがそこに浮遊しているようである。しかしヴェルジュは太陽が明るく照らす窓に向かって照射する作品も制作しており、そのアウラが日中消失することも厭わない冷静な態度も持っている。

また、ヴェルジュは元々はスライド投光器による光を用いて制作していたが、明るい室内へ恒久設置する作品のためにスポット・ライト・プロジェクターを用い、それ以降はスポットライトが主な手段となった。照明はランプ切れや電力を使用する点で絵画や彫刻などよりはメディアとして弱いわけだが、映像のための装置よりは丈夫なシステムを持っており、その丈夫さがヴェルジュの作品におけるバリエーションという特徴を生んでいる。

コメント