光の話 Lighttale for Art and Culture

2015年11月、朝日新聞「蛍光灯、実質製造禁止へ 20年度めど、LEDに置換」の記事について

http://www.asahi.com/articles/ASHCT5JHKHCTULFA021.html

このWebサイトを開設するきっかけになった記事である。白熱電球と蛍光灯の製造・輸入が2020年をめどに禁止され、それに伴いLEDランプの需要が高まるという内容であるが、実際には2020年に白熱電球と蛍光灯が禁止されることはない。

白熱電球は京都議定書以来、政府からメーカーに対して何度か製造の自主的停止の要請がなされており、現在多くのメーカーが一般家庭用の白熱電球の製造を止めているが、その要請は輸入や製造を禁止するものではない。

蛍光灯についても製造や輸入が禁止される予定はない。記事内にある2020年という表記は、水俣条約が水銀を一定量以上含んだ製品の製造や輸出入を禁止する年であるが、現在市販されている一般用の蛍光灯はその基準を下回っておりこの条約は適応されない。

記事における規制の根拠は、「来夏(2016年)をめどにつくる省エネ行動計画において、トップランナー制度における照明の品目を一つにまとめることを盛り込むため、LED並みの省エネを達成するのが困難な白熱灯と蛍光灯は、事実上、製造や輸入ができなくなる見通しだ。」ということだが、トップランナー制度は禁止政策ではなく直ちに製造や輸入が禁止されることはない。

この記事は、経済産業省の省エネランプ等の普及促進対策についての要請、水俣条約、トップランナー制度などが混同されており、内容は事実と異なる点や誤解を生む表現などがある。記事の公開直後には日本照明工業会や経済産業省からその内容を否定するような声明がなされている。

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参考

蛍光灯製造に関するマスコミ報道に対するご説明(PDF)| 一般社団法人日本照明工業会(2016.09.08 アクセス)
http://www.jlma.or.jp/information/20151202keikouhoudou.pdf

「蛍光灯は禁止?」の誤解|経済産業省(2016.09.08 アクセス)
http://www.meti.go.jp/main/60sec/2015/20151208001.html

2020年に白熱灯、蛍光灯の国内製造・輸入禁止という誤情報|訂正information(2016.09.08 アクセス)
http://teisei.info/archives/548