光の話 Lighttale for Art and Culture

人間の視覚

人間は視覚中心の生物であり、外部から受け取る情報の87%は視覚によるものであるとされる。人間の眼の網膜には錐体細胞と桿体細胞の二つの視細胞があり、それぞれ役割が異なる。錐体細胞は色を感じることができ、網膜の中心に細胞が集中しているため高い解像度で像を捉えることができる。桿体細胞は明るさや物の輪郭を感じることができ、わずかな光でも物の形をとらえることができるが色を感じることはできない。錐体細胞には青、緑、赤それぞれの波長に反応する三つの種類があり、それぞれから入った信号が演算された上で、色相や輝度の感覚として脳に送られる。中でも緑色の細胞は感度が高く演算の中心になるため、黄緑色の555nmあたりの色が最も明るく見え、赤や青になるほど暗く見える。これは緑色の波長の光が最も多く放射されている太陽光の分布と近く、人間の視覚が太陽光を基準にし、その元で物が最大限明るく見えるように出来てきたものと言える。太陽光が人間の目には白く見えるのも、そのように人間の視覚ができているからだ。もし異なる波長分布の光源の元で進化した視覚生物がいたら、彼らには太陽光が白ではない別の色に見えることだろう。

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