光の話 Lighttale for Art and Culture

LEDランプ

LED

LED(発光ダイオード)は電圧をかけることで発光が生じるエレクトロルミネセンスを利用した照明である。

ある処理によって電子を増やした半導体と、電子を減らし電子が抜けた後の穴である正孔が増えた半導体とを用意し、それらを結合する。そこに順方向に電圧をかけると、それぞれの電子と正孔が反対の極に向かって移動する際に二つの半導体の結合面でぶつかり、再結合する。再結合の後には、結合前より電子のエネルギーが小さくなるため、その差のエネルギーが光として放出される。これがLEDの発光の原理である。素材となる半導体は化合物でできており、その素材によって発する光の波長や強さが変化する。

LEDは1900年代の初頭にはつくりだされていたが実用には程遠いものであり、実用的なものが登場し市販されのは1960年代以降である。当初は赤外線しか出せなかったものが、可視領域のもの、オレンジ色や黄色や緑色ものと徐々に色数が増えてゆき、また効率も上昇してゆく。1970年代には電卓やデジタル時計の表示に使用されるようになり、1980年代には効率や明るさが格段に向上したことでバーコードの読み取りや光ファイバーによる通信システムなど様々なものに応用され始める。

1980年代後半に半導体レーザーの知識を応用した新たなLEDが登場し、効率や明るさ、温度や湿度に対する耐性が改善された。さらに組織を調整することで赤から緑までの色を同一の素材系でつくりだすことができたが、波長が短くなるほど効率は落ち、実用的な青色は実現することができなかった。

青色LED、白色LED

青色のLEDが実現できれば、三原色がそろい白色が再現できる。はるかに効率が良い新たな照明を作ることができるため、1990年代までに多くの企業がその研究を進めていた。しかし実現は困難であり、青色LEDの登場は21世紀まで待つ必要があるだろうとさえ予測されていた。

ところがその予測を覆し、1993年に当時無名であった日本の日亜化学工業が青色LEDを発表。従来のものより100倍明るい実用レベルのものであった。

さらに、もともと蛍光体の製造をしていた日亜化学はその技術を生かし、青色LEDと黄色に発光する蛍光体による白色LEDを開発。1996年に市販を開始した。発売後も効率や寿命が年々向上し、照明やの液晶画面のバックライトなど、新たなLEDの市場を作り出し爆発的に普及した。

LEDランプ

白色LEDによる照明は効率が格段に良く寿命が長いため、使用する際のコストが低く、家庭用の照明はLEDに置き換わりつつある。また光源が小さな点であり、つけ消しや調光などの制御も容易であるため、デザインに広い可能性がある。道路設備や建築設備、店舗用などに用いられるHIDランプなどの照明に代わる高出力のLEDも開発されており導入が進んでいる。

ただし、LEDランプは過渡期の照明である。照明は生活に密着しているために、代替わりする際には新たな照明が旧来の照明のデザインを模倣しすり替わるかたちで普及するという特徴があるが、LEDも例に漏れず現在は蛍光灯や電球の形をしている。しかしLEDランプは従来の白熱電球や蛍光灯などの照明と大きく性質が異なり、当然そのドミナントデザインも異なるはずである。LEDランプの特徴を最大限に生かすような形状、照明器具、インストールの方法などが発見されれば、より一層の効果や展開を期待できるだろう。

ただしLEDランプの機能が旧来の照明のすべてを上回るわけではないため、すべての照明の需要がLEDランプで満たされるということはない。例えば演色性については、熱放射による発光を利用しそもそも演色性の基準になっている白熱電球に届くことは難しいと思われる。

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参考

宮原 諄二『「白い光」を創る』(2016、東京大学出版会)

LEDの発光原理 | LEDの基礎知識 | パナソニックのLED | 照明器具 | Panasonic(2016.05.14 アクセス)
http://www2.panasonic.biz/es/lighting/led/led/principle/